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2018(H30)年度 埼玉県(共通)公立高校入試・解説

問題 http://www.center.spec.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=12012

解答  http://www.center.spec.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=12019

 

結果 http://www.center.spec.ed.jp/?action=common_download_main&upload_id=12007

 

 

 

公式の発表が丁寧。正答率、解答例、誤答例、別解まで書いてくれている。

すべての県がこのくらいやってくれると嬉しい。

 

大問1

(8)(10)(11)の正答率が低い。(8)はおなじみ二次関数の変域の問題。変域と変化の割合は基礎問題の割にどこの県でも正答率が低い。直前に必ず見直したい。(10)度数分布表から平均を出す方法。これも忘れやすいので入試までに復習しておく。計算ミスに注意。(11)食塩水の典型問題。食塩水の問題は多くの生徒が苦手とする。マスターできれば他の受験生と差をつけれるので、一通りの典型パターンを抑えておこう。

 

(8)

 変域を考える時は必ずグラフから考える。本問は変域から式を出す問題。この手の問題は y の変域の0の位置に着目する。

 ???≦y≦0 なら 最大値が0なので上に凸な(下に開イている)グラフ

 0≦y≦??? なら 最小値が0なので下に凸な(上に開いている)グラフ

 

今回は -8≦y≦0 だから このグラフは上に凸なグラフ(a>0)。

   f:id:keimathchem:20190122211614p:plain

そうすると、x=2のときに最小値 y=-8 を取ることが分かる。

よって、y=ax^2x=2,y=-8を代入すればよい。

 -8=a×2^2

 a=-2

 

(10)

 平均値を度数分布表から出す問題。

  平均値=\frac{(階級値×度数)の合計}{度数の合計}

 といった公式があるが、公式を暗記するより考え方を理解しよう。

 

今回の度数分布表を上から見ていく。

 f:id:keimathchem:20190122212406p:plain

小学校のころ、平均値は合計÷個数で出した。

度数分布表では、合計を大体の値で計算する。

上の表では、度数の2人が4mか8mかわからないので、2人とも階級値の5m投げたと考える。すなわち、2人合わせて5×2=10m と考える。

 もちろん、2人が投げたのは本当は4mと8mで合わせて12mかもしれない。この2人を強引に5m投げたとしているので、実際の平均と、度数分布表から出した平均は少しずれる。

 

 f:id:keimathchem:20190122213258p:plain

次は、6人全員が階級値の10m投げたと考えて

 6×15=90m

 

これを続けていけば

 f:id:keimathchem:20190122214519p:plain

となり、大体の合計は

 10+90+175+140+45=460 m

となる。20人いるので平均は

 460÷20=23 m

となる。

 

この操作を公式にすると

 平均値=平均値=\frac{(階級値×度数)の合計}{度数の合計}

となり、問題集なんかの解答には

 \frac{10×2+15×6+25×7+35×4+45×1}{20}=23 m

と書いていることが多い。

 

(11)

 食塩水の解き方は、速さで言う「み(き)はじ」のようなやつがある。

  f:id:keimathchem:20190122220451p:plain

使いかたは、「み(き)はじ」と同じように使えば良い。

あまり詳しく語ると1~2テーマ分ありそうなので今回は割愛する。

 

「食塩の質量=濃度×全体の重さ」で、全体の重さ=食塩水の質量

7%の食塩水600gなので

 食塩の質量=0.07×600=42g

 

表を埋めよう。わからなければ、表の「食塩の割合」は無視してよい。

6%の食塩水 x gの方だけ見てみる。

 食塩水の質量(全体の質量)は、 x g

 食塩の割合=濃度なので、0.06  (割合は%を少数に直したやつ)

 食塩の質量は 濃度×全体の質量なので、

 食塩の質量=0.06x g

これらを表に埋めていくと

 f:id:keimathchem:20190122222348p:plain

食塩水の質量について、

 2つの食塩水を混ぜて600gになったので

  x+y=600

食塩の質量について、

 混ぜれば中に入っている食塩の質量は足されるので

  0.06x+0.1y=42

この2つを連立すればよい。

 

大問2

(1)は時間を掛けて一つずつ調べてもよいが、早く終わらせる手法がある。この手法はよく使うので知っておこう。(2)は図形の埋め込み問題。背景にある知識は高校数学につながる。(3)は5.3%と非常に低い。折り目の問題はよく出る典型問題。定期テストにも出るような問題であるから、作図問題を対策しておけば解ける問題のはず。(4)は背景知識に高校数学の「方べきの定理」がある。。

 

(1)

一つずつ調べていってもよりが、約数が3未満の確率は、1から約数が1個、約数が2個の確率を引けばよい。

 約数が1つとなるのは、ab=1のみ

  (1,1)

 約数が2つとなるのは、ab=素数となるときのみ

  (1,2),(2,1),(1,3),(3,1),(1,5),(5,1)

 ※「約数2つ=素数」は割と重要

 よって、1-\frac{7}{36}=\frac{29}{36}

 

 「◯◯でない確率=1-〇〇である確率」は重要

例 コインを4枚投げて裏が1つ以上でる確率

 「1-裏が出ない確率(すべて表の確率)」だから

 すべて表になるのは \frac{1}{16}

 よって、\frac{15}{16}・・・答

 

 積 ab の「約数が3個ジャストになる確率」はよく聞かれる。重要事項として、「約数が3つ=4以上の平方数(4,9,16,25...)」を覚えておこう。

  今回と同じ設定なら

   [texab=4]のとき 約数は1,2,4の3つ。 出た目は(2,2)

   ab=9のとき、約数は1,3,9の3つ。 出た目は(3,3)

  となり、a=b の関係があることが分かる。( (1,1)は除く)

 

(2)

 立方体の1辺が 6 cmなので、BD=6 cmである。

 △BDCは直角二等辺三角形'( 1:1:\sqrt2 の直角三角形)なので

  BC=3\sqrt2

 よって、正八面体の1辺は 3\sqrt2 cm である。

  f:id:keimathchem:20190122235928p:plain

 

 また、立方体の1辺の長さは 6 cmなので、AF=6 cm

 

f:id:keimathchem:20190123001132p:plain

 正八面体を正四面体2つに分ける。

 正四面体の高さは、立方体の1辺の半分なので 3 cm

 底面は正方形BCDEなので、底面積は 3\sqrt2×3\sqrt2=18

 よって、正四面体1つ分は 18×3×\frac13=18

 ゆえに、正八面体は 18×2=36 cm^3

 

1辺 a cmの立方体に埋まっている正八面体はの体積Vは

  V=\frac{1}{6}a^3

である。ようは正八面体の体積は、立方体の体積の [tex\frac16] 倍になる。

ただし、これを単純に公式で覚えてはいけない。まず自分で正八面体の体積を出せるようになってから、余裕があれば覚えておこう

 

 正八面体の外接球、内接球の半径を求める問題へ発展できる。

 外接球の半径Rは

  直径はAFだから、半径は R=3 cm

 内接球の半径rは、高さの逆算問題として解ける

  内接球の中心をOとする。O-ABCは正八面体の体積の \frac18

  また、△ABCの面積は \frac{9\sqrt3}{2} だから

  よって、\frac18×36=\frac{9\sqrt3}{2}×r×\frac12

      r=\frac{2\sqrt3}{3}

 

(3)

 最終的にどんな図になるか見てみよう。

 f:id:keimathchem:20190123130613p:plain

 点AがBCに重なるとき、重なった点をA'とすると、右図のような折り目ができる。

このとき線分AA'を見ると折り目を軸に対象になっている。よってAA'の垂直二等分線が折り目である。

 

よって、初めにA'の位置を決めよう。PA=PA'となるから、点Pにコンパスの針を指して、PAを半径とする円を書き、円とBCの交点をA'とすれば良い(下図左)。

 f:id:keimathchem:20190123131146p:plain

あとは、AA'の垂直二等分線を書く。

 

 AA'は必ずPを通るのだが、Pを通るという確信がなく自信がないなら、∠APA'の角の二等分線を引けばそれが折り目となる。こちらのほうが自然ではあるが、教科書で折り目の問題を扱う時、垂直二等分線で習っているので今回は、垂直二等分線を使って答えた。

 

(4)

 辺の比を求めるので、相似な図形を探せば良い。

  ①ABとDCを結んで△PAB∽△PDC

  ②ADとBCを結んで△PAD∽△PBC

 どちらでもよい。

一部正答となった解答が、正解となった解答と同数ある。理由説明や対応の順などを間違えないように気をつけよう。

 

 PA:PD~PB:PCから、方べきの定理 PA×PC=PB×PD が導ける。

 この掛け算で出題されても、同様に相似を証明すればよい。

 なお、方べきの定理は高校数学で重要な定理の1つ。

 

大問3

規則性の問題。(2)の正答率が2.5%と低い。

規則性のパターンは大きく分けて

 ①等差数列パターン 1,3,5,7...

 ②階差数列パターン 1,2,4,7.... 

 ③二乗パターン 1,4,9,16...

 ④フィボナッチ数列パターン 1, 1, 2, 3,5...

 ⑤サイクルパターン 1,4,5,1,4,5.....

 ⑥数え方の工夫

がある。詳しくは別枠でやる予定(中3の最後のほうかな)。

 

(1)

 f:id:keimathchem:20190123134229p:plain

白タイル 階差数列パターン

黒タイル 階差数列パターン、一つ前の白と同じ

合計 二乗パターン

になっている。

 f:id:keimathchem:20190123135113p:plain

 

(2)

下図のように、一番下の n 個の白タイルを消してみると、

白と黒の枚数が同じになる。

f:id:keimathchem:20190123145652p:plain

タイルの合計は、二乗パターンだから

 2a+n=n^2

が成り立つ。

よって、a=\frac{n^2-n}{2}

 

大問4

(2)(3)の正答率が低い。特に(3)は0.3%と最も低い問題であった。

(2)は比から座標を出す練習が必要。よく使うので必ず出せるようにしておきたい。

なお、相似を使わなくても高校数学で学ぶ公式を先取りしておけば楽に出せる。

この公式は、他の問題に応用がきくので、知っておこう。(3)は(2)まで出来れば実はそんなに難しくない。

 

(2)

 (1)で

  A(-2,2), B(3,\frac{9}{2}), L:y=\frac{1}{2}x+3

 が分かっているものとする。

 

Cの座標をだせば、②の式が分かる。CはAEを1:3に分ける点である。

こういった内分点は、x 座標、y 座標だけ見ても1:3になっている。どういうことかは下図を見てほしい。

f:id:keimathchem:20190123155003p:plain

A(-2,2)なので、Cの x 座標は

 -(2×\frac{3}{4})=-\frac32

CはL上の点だから, Lの式に代入して

 C(-\frac32,\frac{9}{4})

となる。よって、y=ax^2に代入して

 a=1

 

 A(Ax,Ay),B(Bx,By)について、

  ABをm : nに内分する点Cは

   C(\frac{nA_x+mB_x}{m+n},\frac{nA_y+mB_y}{m+n})

 である。これを使って点Cの座標を出してもよい。

 

(3)

f:id:keimathchem:20190123155550p:plain

求めたい面積は、△OFGから△OCDを引けば出せる。

それぞれの三角形の面積を求めるには、各頂点の座標C,D,F,Gを出す必要がある。

 

△OCDの面積

 Lの式と②の式を連立し

  \frac{1}{2}x+3=x^2

  2x^2-x-6=0

  (2x+3)(x-2)=0

   x=-\frac{3}{2},2

 よって、D(2,4)

 Eの座標はE(0,3)だから、

  △OCD=3×\frac{3}{2}×\frac12+3×2×\frac12

  △OCD=\frac{21}{4}

 

△OFGの面積

 OCの式は -\frac{3}{2}x

 OCと①の交点Fは 

  -\frac{3}{2}x=\frac{1}{2}x^2

  x=0,-3

 よって、F(-3,\frac{9}{2})

 ODの式は y=2x

 ODと①の交点Gは

  2x=\frac12x^2

  x=0,4

 よって、G(4,8)

 FGの式を求めると \frac12x+6 となる

 ゆえに H(0,6)であるから

  △OFG=6×3×\frac12+6×4×\frac12

  △OFG=21

以上より

 CDGF=21-\frac{21}{4}

 CDGF=\frac{63}{4}

 

 A(A_x,A_y), B(B_x,B_y)と原点Oを頂点とする三角形OABの面積Sは

  S=\frac12|A_x×B_y-A_y×B_y|

 となる。(| |は絶対値記号)

 これを使えば、原点を頂点とする三角形の面積を分けずに計算できる。

 なお、平行移動を使えば、原点が頂点で無くても面積を計算できる。

 このあたりは、別枠でまとめる(中2かな)