ページ コンテンツ
MENU

2018(H30)年度 福島県(Ⅱ期)公立高校入試・解説

問題 http://www.fukushima-tv.co.jp/nyushi/img/mondai-sugaku.pdf

解答 http://www.fukushima-tv.co.jp/nyushi/img/kaito-sugaku.pdf

出題とねらい http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/264855.pdf

 

 

大問1

基本の計算問題。特に難しいものは無かった。正答率も高く。ここで失点しないように練習しておこう。

 

大問2

(2)が意外にも一番正答率が低かった。二次関数の変域や変化の割合は、どこの県でも正答率が低くなる傾向があるが、決して無↑足入問題ではなく、やり方を練習しておけば誰でも解ける問題である。入試前に一度確認しておくと良いだろう。

 

(2)

-2≦x≦4のとき、-8≦y≦0である。

0が最大値になるということは、このグラフは上に凸(下に開いている)グラフであり、a<0である。また、x=4のとき最小値y=-8でなければならない。

下図から、x=-2が最大にも最小にも関係がないことが分かる。

    f:id:keimathchem:20190116213711p:plain

x=4のときy=-8だから

 -8=a×4^2

 a=-\frac{1}{2}

 

大問3

(1)②と(2)②の正答率が低かった(それぞれ47.6, 36.6)。(1)②は相対度数の簡単な問題である。やはり1年生の最後に触れて、あまり復習の機会がないのか、公式や用語の意味を忘れがちなのだろう。なお、この問題は女子の人数を求める必要がある。公式をそのまま使うと、男女両方の合計人数がでるだけなので気をつける。(2)②は説明する必要がある問題。計算をくちゃくちゃと書いて答えだけ出してきた子は苦手な印象。普段から計算過程を正しくノートに書くようにしよう。とくに「x=3を代入すると」とか「①×2-③より」とか、途中式以外の部分を書いてない子が多い。しかも、なお悪いことに本人は途中式をしっかり書いてると思いがち。

 

(1)

 30人のうち、9秒以上10秒未満の階級の相対度数が0.3だから

 この階級に含まれる男女の人数は

  30×0.3=9

 ここから、男子の人数を引く必要がある。男子の人数は資料から数える。

 9秒以上10秒未満の男子は 2人

 よって、女子の人数は 7人

(2)

そもそもA、B、Cで何が違うか、

 A 1枚引いて元に戻さない。つまり(4,4)のような引き方はダメ

   全体は4×5で20通りになる。

f:id:keimathchem:20190116220127p:plain

 B 2枚同時に引く。つまりこの二枚に違いがない。(2,3)(3,2)を同じものと考える。

  全体は4+3+2+1で10通り

f:id:keimathchem:20190116220144p:plain

 C 1枚引いて元に戻す。同時ではないので(2,3)(3,2)は別の物と考える。

   Aと違って(4,4)のような引き方もOK。全体は5×5で25通り。

f:id:keimathchem:20190116220159p:plain

  後はA,B,Cすべての場合について確率を求めて、一番確率が高いものを選べば良い。

 苦手な場合は、樹形図から和が8になるものを見つけても良い。

 

大問4

 そこそこ正答率が高い。美術館は55人、博物館に行く人数をxとすれば、全員で120人だから共通入館券を買ったのは120-55-x人と分かれば解ける。

 

大問5

(1)から正答率が15.6と非常に低い。長さが等しいのだから、AFとBEを含む合同な2つの三角形を探そう。△AFDと△BECでもいいが、証明がめんどくさい。(2)の正答率は14.0。(1)で証明したAF=BEを利用する。(1)が(2)のヒントになっている問題は多々あるので、(1)を利用できないかな?という視点は持っておこう。AFとBEは共に△AFEと△BEGの底辺なので、底辺が等しい。ということは高さの比=面積比が使える。

 

(1)

f:id:keimathchem:20190116225400p:plain

図のように、△AFEと△BEDの合同を証明すればよい。

仮定をうまく図に落とし込んでいれば、証明が簡単だと気がつくだろう。

AB=ACで、D、Eは中点だから

  AE=BD

仮定から、

 FE=ED

図の△ADEが二等辺三角形だから赤丸が等しいことから、

∠AEF=∠BDEを証明できそう。

ということに気がつけば解ける。これが解答の例1にあたる。

 

(2)

△BGEと△AEFの高さの比を求める問題。

底辺である AFとBEが等しいと(1)で証明したので、

底辺が等しいとき、「高さの比=面積の比」が利用できる。

よって、△AEFと△BGEの面積比を求めればよい。

f:id:keimathchem:20190116233724p:plain

中点連結定理より

 BC:DE=2:1 よって BC:FE=2:1

上図左のように△BCG∽FEGなので

 △BCD:△FEG=④:②

 CG:EG=2:1

次に上図中央のように

△BGEと△BCGは高さ共通なので、面積比は

CG:EG=2:1より

 △BGE:△BCG=②:④

最後に上図右のように、

△BEDと△BEFは高さ共通で底辺が等しいので、面積が等しく

 △BED=③

(1)より△AFEと△BEDの合同だから

 △AFE=③

つまり

 △BGE:AFE=②:③

面積比と高さ比は等しいので

 x:y=2:3

 

大問6

(2)①の正答率は24.8と低かった。しかしこの問題は実はそんなに難しい問題ではない。必要な座標を順番に求めていけば答えられる。

(2)②の正答率が0.4とほとんどの受験生が失点している。確かにややこしい問題ではある。時間的な制約もあるので、飛ばしても良い。文字座標から長さを出す練習をしておかなければ、プラスマイナスを間違えるので注意。

 

(1)

 l の切片は n と同じく7なので

 y=ax+7

A(-2,1) を通るので

 1=-2a+7

 a=3

よって

 y=3x+7

 

(2)

△APQの面積を出すには、PとQの座標が必要。

f:id:keimathchem:20190117000039p:plain

PとQの x 座標は等しくx=-1 である。

 Pは l 上の点で、x=-1なので

  y=3×(-1)+7=4

 よって、P(-1,4)

 Qは m 上の点で、x=-1なので、

  \frac{1}{2}×(-1)+2=\frac{3}{2}

 よって、Q(-1,\frac{3}{2}

底辺PQの長さは

 PQ=4-\frac32

 PQ=\frac52

高さは点Aから x=-1に降ろした垂線だから

 高さ=2-1=1

よって、面積は

 △APQ=\frac52×1×\frac{1}{2}

 △APQ=\frac54

 

①と同じ作業をしていく。つまりP, Qの座標を出して、底辺PQと高さを出せばよい。

Pは動く点なので、Pの x 座標を t とおくのが定石。あとは t を使ってPQと高さを表そう。

また、Pの位置によって式が異なるので場合分けする必要がある。

 

Ⅰ PがAC上にあるとき

f:id:keimathchem:20190117000844p:plain

Pは l 上の点で、x=tなので

よって、P(t,3t+7)

Qは m 上の点で、x=tなので、

よって、Q(t,\frac{1}{2}t+2

 

PQの長さは

 PQ=3t+7-\frac{1}{2}t+2

 PQ=\frac{5}{2}t+5

高さは点Aから x=tに降ろした垂線だから

 高さ=2-t=

よって、面積は

  △APQ=\frac{1}{2}(\frac{5}{2}t+5)(2-t)

 

Ⅱ PがCB上にあるとき

f:id:keimathchem:20190117001814p:plain

前半は一緒なので、省略してよい

Pは l 上の点で、x=tなので

よって、P(t,3t+7)

Qは m 上の点で、x=tなので、

よって、Q(t,\frac{1}{2}t+2

PQの長さは

 PQ=3t+7-\frac{1}{2}t+2

 PQ=\frac{5}{2}t+5

 ここまで変わらない

高さは点Aから x=tに降ろした垂線だから

 高さ=2+t

よって、面積は

 △APQ=\frac{1}{2}(\frac{5}{2}t+5)(t+2)

 

Ⅰ PがAC上にあるとき

  \frac{1}{2}(\frac{5}{2}t+5)(2-t)=\frac52

 これを解いて 

  t=\sqrt2

Ⅱ PがCB上にあるとき

  \frac{1}{2}(\frac{5}{2}t+5)(t+2)-\frac52

 これを解いて 

  t=-2+\sqrt2

この2つが答え

 

大問7

正答率は(2)①16.4②0.9。またしても高さの逆算問題が出ている。体積から高さを逆算していけば良い。学校であまり触れないので、高さ逆算の問題を出すと安定して正答率の低い問題を作れるので便利なのだろうか?高校入試ではよく出題されるので練習しておこう。

 

(1)

 △DEFは1辺6の正三角形

 好きな頂点から垂線(高さ)を下ろす。

 60°の直角三角形が現れるので、高さは

  3\sqrt3

 f:id:keimathchem:20190117004828p:plain

よって、

 △DEF=6×3\sqrt3×\frac{1}{2}

 △DEF=9\sqrt3

 1辺 a の正三角形の面積 S

  S=\frac{\sqrt3}{4}a^2

 で求められる。

 正三角形の面積はよく問われるので、覚えておくと便利。

 

(2)

下図のようにGからDEに降ろした垂線の足をIとする。

GIはBE、CH、ADと平行なのだから、

GIは△DEFを底辺とした時の高さである。

(1)で△DEFを出しているので、後はGIの長さを出せばよい

f:id:keimathchem:20190117010911p:plain

△DGI∽△DHEなので、

 GI:BF=3:4

よって

 GI=6

ゆえに

 G-DEF=9\sqrt3×6×\frac{1}{3}

 G-DEF=18\sqrt3

 

Gからの距離とは、GからDEHに降ろした垂線の長さである。

すなわち、この垂線はG-DEHの△DEHを底面とした時の高さである。

高さを出す典型的手法の一つに体積と底面積から高さを逆算する方法がある。

 

ここで確認

f:id:keimathchem:20190117012724p:plain

右図のように、頂点を底辺と平行な直線上で動かしても面積は変わらなかった(等積変形)。

これを立体に拡張して考える。

左図のように頂点を底面と平行な直線状で動かしても体積は変わらないはずである。

 

問題に戻ろう

 面ABEDとCFは平行なので、(2)のG-DEFとG-DEHの体積は等しい。

 よって、△DEFの面積が分かればGから降ろした垂線の長さが分かる。

△EHFで三平方の定理より

 EH^2=EF^2+HF^2

 EH=\sqrt{36}

もちろん△DEHは二等辺三角形なので

 [tex:HD-\sqrt{39}

よって。HからDEに降ろした垂線の足をK(Iと重なる)とすると

△HKEについて三平方の定理より 

 HK^2=EH^2KE^2

 [tex:HK^2=\sqrt{39}^2-3^2

 HK=\sqrt{30}

よって

 △DEH=3\sqrt{30}

 

よって、G-DEHの体積について

 18\sqrt{3}=3\sqrt{30}×高さ×\frac{1}{3}

 高さ=\frac{9\sqrt{10}}{5}

以上よりGとDEH間の距離は

 \frac{9\sqrt{10}}{5}

 

感想

大問5,6,7に非常に時間がかかったのでは無いだろうか。ただ、入試問題をとく上での基本的なテクニックを学べるので、時間内に解けなかったとしても、よく復習してほしい。特に面積比に関連する事項、座標と線分の長さ、等積変形の立体への拡張、高さの逆算あたりは繰り返し入試で問われ、受験生がよく間違える範囲だと思う。平面の図形で考えたことを、立体図形に当てはめることを練習する機会が少ないのかなと思う。

大問3(2)のA,B,Cの違いは高校数学でも大切になってくる。中学生ではこのあたりを曖昧にしている子が多いように思う。その点を突いた本問は良問だと思う。