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平方根の利用(3)(範囲を満たす平方根)(標~難)

前回の記事と同時だと、文章が長すぎたので分けた。

  

前回←平方根の利用(2)(整数部分・小数部分)

次回→平方根の補充問題

 

 

2.4 平方根の利用

  2.4.1 整数・自然数になるようにする(標~難)

  2.4.2 整数部分,小数部分(標~難)

  2.4.3 不等式と平方根(標~難)

  2.4.4 平方根の補充問題(難)

 

 

1.不等式と平方根

例題01-1

(1) 3<\sqrt{a}<4を満たす自然数aの値すべて求めよ。

(2) \sqrt{3}<a<\sqrt{48}を満たす自然数aの値をすべて求めよ

(3) a<\sqrt{123}<a+1を満たす自然数aを求めよ

 

解説

 大小関係の問題なので、以下のどちらかで解く

  全部の数を二乗する

  全部の数を\sqrt{ }の形で表す。

 これは以前にやった内容。   →大小関係

 今回は「全部の数を二乗する」方法のほうがやりやすい。

 

(1)

 3<\sqrt{a}<4

全部の数を二乗し

 9<a<16

よって、 a=10,11,12,13.14,15・・・答

 ※16や9は≦でないから、入れない

 

(2)

 \sqrt{3}<a<\sqrt{48}

全部の数を二乗し

 3<a^2<48

二乗してこの範囲に収まるaは

 a=2, 3, 4, 5, 6・・・答

 

(3)

 a<\sqrt{123}<a+1

この不等式の形は、整数部分を求めるときの形と同じ

 (※a≦x<a+1を満たす実数xの整数部分はa)

なので、整数部分の問題と同じように、

中身の123が、何と何の二乗の間にあるか調べる

もちろん11^2=12112^2=144の間にある

 121<123<144

 11<\sqrt{123}<12

よって、a=11・・・答

 

解答

(1)

 3<\sqrt{a}<4より、9<a<16

 よって、a=10,11,12,13.14,15・・・答

(2)

 \sqrt{3}<a<\sqrt{48}より、3<a^2<48

 よって、a=2, 3, 4, 5, 6・・・答

(3)

 121<123<144より、11<\sqrt{123}<12

 よって、a=11・・・答

 


 

例題01-2

\sqrt{3a}を四捨五入したとき、5となるような整数aの値をすべて求めよ。

\sqrt{15}\sqrt{40}の間にある整数をすべて求めよ。

 

解説

 文章から不等式(大小関係)を自分で作る

なお、 (1)は中1の資料の活用の範囲。 

解答

(1)

 四捨五入したとき5となるから

  4.5≦\sqrt{3a}<5.5

 二乗して

  20.25<3a<30.25

 よって、

  a=7,8,9,10・・・答

 

(2)

 求める整数をaとおくと

  \sqrt{15}<a<\sqrt{40}

 二乗して

  15<a^2<40

 よって、

  a=4,5,6・・・答


練習問題01

(1) 3<\sqrt{5a}<6を満たす整数aをすべて求めよ。

(2) \sqrt{7}<a<\sqrt{78}を満たす自然数aをすべて求めよ。

(3) a<3\sqrt{15}<a+1を満たす整数aを求めよ。

(4) \sqrt{a}を四捨五入すると3になった。このような整数aをすべて求めよ。


 

2.個数の処理①

例題02-1

(1) 15≦\sqrt x≦16となるような自然数xは何個あるか

(2) 12<\sqrt x<13となるような自然数xは何個あるか

(3) 5≦\sqrt x<12となるよな自然数xは何個あるか 

 

解説

 個数の処理で詰まった時は、小さい数で具体例を出して処理方法を考える。

 

小さい数字で確認すると。

 ①4≦x≦8を満たすxの数は

   x=4,5,6,7,8の5個

  これは8-4+1=5個で出せる。

 

 ②4<x<8を満たすxの数は

   x=5,6,7の3個

  これは8-4-1=3個で出せる。

 

  ③4≦x<8を満たすxの数は

   x=4,5,6,7の4個

  これは8-4=4個で出せる。

 

まとめると

 a,bを整数とすると、

 a≦x≦bを満たす整数xの数はb-a+1

 a<x<bを満たす整数xの数はb-a-1

 a≦x<bを満たす整数xの数はb-a

である。

 

ただし、例えば

 2.1≦x≦6.6を満たす整数xは

  x=3,4,5,6

 なのでxは4個ある。

しかし、これはb-a+1で出せない

 

このように、問題によって個数の出し方が違うので、

わからなくなったら、小さい数で確認しよう。

 

解答

 具体例で見つけた個数の数え方を適応する。

(1)

 15≦\sqrt x≦16

二乗して

 225<x<256

よって、

 256-225+1

  =32個・・・答

 

(2)

 12<\sqrt x<13

二乗して

 144<x<169

よって、

 169-144-1

  =24個・・・答

 

(3)

 5≦\sqrt x<12

二乗して

 25≦x<144

よって、

 144-25

  =119個・・・答

 


 

例題02-2(難)

 a≦\sqrt x≦a+1を満たす自然数xが14個あるような整数aの値を求めよ。

 

解説

 4≦x≦5を満たすxは

  x=4,5の2個

 なので、xの個数は5-4+1=2個で計算出来る

 

 同様に考えて

  a≦\sqrt x≦a+1

  a^2≦x≦(a+1)^2

 よって、個数について

  (a+1)^2-a^2+1=14

 が成り立つ。

  a^2+2a+1-a^2+1=14

  a=6 ・・・答

 

解答

  a≦\sqrt x≦a+1

  a^2≦x≦(a+1)^2

 この範囲にある整数xの個数が14個なので、

   (a+1)^2-a^2+1=14

 これを解いて

   a=6 ・・・答

 


練習問題02

(1) a<\sqrt x<a+1を満たす整数xが2020個あるような整数aの値を求めよ。

(2) 2<\sqrt x <aとなる整数xが11個あるような整数aの値を求めよ。 

(難)(3) 2<\sqrt x <aとなる整数xが11個あるような実数aの範囲を求めよ

<出典:(2)学習院


 

3.個数の処理②(難)

例題03

\sqrt nの整数部分をkとする。

(1) k=5であるような、自然数nは何個あるか

(2) 整数部分がkとなるような、自然数nの個数をkで表わせ

(3) 自然数nが21個あるような、kの値を求めよ。

(4) n=1からn=20までのkの値の総和を求めよ。

(5) \sqrt kの整数部分をLとする。k-L=2となるような自然数nは何個あるか

 

解答・解説

(1)

 整数部分が5になるような、\sqrt nのnの値の個数を求める

 これは、例題01-2と同じで、自分で不等式を作る。

  a≦x<a+1を満たす実数xの整数部分はa

 だったから(※前回を参照)

  整数部分が5のとき 5≦\sqrt{n}<6

 といえる。

  5≦\sqrt{n}<6

  25≦n<36

 これを満たすnの個数の求め方は例題05-1と同じで

  36-25=11個・・・答

 

(2)

  (1)と同じ処理をkで行う。

 整数部分がkのとき k≦\sqrt{n}<k+1

であるから

 k≦\sqrt{n}<k+1

 k^2≦n<(k+1)^2

よって、nの個数は

 (k+1)^2-k^2=2k+1・・・答

 

(3)

 (2)でnの個数とkの関係式を求めた。

 これを利用すればよい。

  2k+1=21

  k=10・・・答

 

(4)

  kの値から考えた方がよい

  k=1となるのは n=1からn=3 の3個

  k=2となるのは n=4からn=8 の5個

  k=3となるのは n=9からn=15の7個

  残りの、n=16からn=20の場合は、k=4となる。

以上より、kの総和は

 1×3+2×5+3×7+5×4

 =54・・・答

 

(4)

 表を作ると分かりやすい。

  f:id:keimathchem:20180711184801p:plain

 つまり、k-L=2となるのは、n=9からn=24

 よって、16個・・・答

 


練習問題03

(1) \sqrt{7a}の整数部分が10となるような整数aの値を求めよ。

(2) \sqrt{2a+1}の整数部分が6となるような整数aの値を求めよ。


 

4.演習問題


演習問題01

(1) 5<\sqrt{a}<5.5を満たす整数aの値を求めよ。 

(2) 4<\sqrt{3a}<5を満たす整数aの値をもとめよ。

(3) 3<\sqrt{\frac{5a+1}{2}}<4を満たす整数aを求めよ。

(4) \sqrt5<a<\sqrt{32}を満たす自然数aを求めよ。

(5) a<\sqrt{219}<a+1を満たす整数aを求めよ。

(6) \sqrt{7a}の整数部分が7であるような自然数aを求めよ。

 

演習問題02

(1) 5≦\sqrt a<15を満たす整数aの個数を求めよ。

(2) 18<\sqrt a <21を満たす整数aの個数を求めよ。

(3) aは正の整数である。a≦\sqrt n≦a+1を満たす整数nの個数をaで表わせ。

(4) a<\sqrt{n} <a+3を満たす整数nが104個あるような整数aの値を求めよ。

 

演習問題03(難)

 {n}は\sqrt nの整数部分

 {{n}}は\sqrt{ \{n\} }の整数部分

 {{{n}}}は\sqrt{ \{ \{n\} \}}の整数部分

とする。以下の問いに答えよ。

(1) n=260のとき、 \{\{n\}\}を求めよ。

(2)  \{ \{n\} \} =3を満たす整数nの個数を求めよ。

(3)  \{n\} + \{ \{ \{n\} \} \}=6を満たす整数nの個数を求めよ。


 

5.解答


練習問題・解答

練習問題01

(1)

 3<\sqrt{5a}<6より、9<5a<36

よって、a=2, 3, 4,5,6,7・・・答

 

(2)

 \sqrt{7}<a<\sqrt{78}より、7<a^2<78

よって、a=3,4,5,6,7,8・・・答

 

(3)

 3\sqrt{15}=\sqrt{135}

 121<135<144より 11<\sqrt{135}<12

よって、a=11

 

(4)

 2.5≦\sqrt a<3.5

 6.25≦a<12.25

よって、a=7,8,9,10,11,12・・・答

 

練習問題02

(1)

 a<\sqrt x<a+1

 a^2<x<(a+1)^2

この範囲の整数の個数は

 (a+1)^2-a^2-1

よって、

 (a+1)^2-a^2-1=2020

 2a=2020

 a=1010・・・答

 

(2)

 2<\sqrt x <a

 4<x<a^2

この範囲に11個の整数が存在するためには、aは整数だから

 4<x^2<16

であればよい。(下図)

よって、a^2=16だから

 a=4 (a>2) ・・・答

 

※図

f:id:keimathchem:20180713195019p:plain

 

補足

もちろん、以下のようにしてもよい

 4<x<a^2

この範囲に存在する整数の個数は

 a^2-4-1

よって、

 a^2-5=11

 a^2=16

a>2より

 a=4・・・答

 

(3)

 整数xの個数が11個になる実数aの範囲は

  15<a^2≦16

 よって、

   \sqrt{15}<a≦4 (a>2を満たす) ・・・答

 

補足解説

例えば、a^2=15.5でも、4<x<a^2を満たす整数xの個数は11個ある。

このように、(3)では、aの値が分数でも、ルートがついてもよいため難しい

 

 

 このような問題は、数直線で考える。

 f:id:keimathchem:20180713195817p:plain

 a^2が上図の赤線の範囲にあれば、整数xの個数が11個になる。

 a^2が16より大きいと、整数xの個数が5~16の12個になってしまう

 だから、a^2は16以下である。 

 

また。

  a^2=15となった場合、下図のようになり、

  4<x<15を満たす整数xは10個しかない。

 f:id:keimathchem:20180713200114p:plain

  よって、a^2≠15である。

 

 以上より、

   15<a^2≦16 

 となり、

   \sqrt{15}<a≦4

 が答えになる。

 

練習問題03

(1) \sqrt{7a}の整数部分が10だから

 10≦\sqrt{7a}<11

 100≦7a<121

7倍して100と121の間にあるのは

 a=15,16,17・・・答

 

割りたければ、

 \frac{100}{7}≦a<\frac{121}{7}

 14.28...≦a<17.28...

として、aを求めてもよい。

 

(2) \sqrt{2a+1}の整数部分が6だから

 6≦\sqrt{2a+1}<7

 36≦2a+1<49

36と49の間の奇数は

 37,39,41,43,45,47

よって、

 a=18,19,20,21,22,23・・・答

 

こちらも、

  36≦2a+1<49

  35≦2a<48

  \frac{35}{2}≦a<24

  17.5<a<24

としてもよい。


 

演習問題・解答

演習問題01

(1)

 5<\sqrt{a}<5.5

 25<a<30.25

よって、a=26,27,28,29,30・・・答 

 

(2)

 4<\sqrt{3a}<5

 16<3a<25

よって、a=6,7,8・・答

 

(3)

 3<\sqrt{\frac{5a+1}{2}}<4

 9<\frac{5a+1}{2}<16

 18<5a+1<32

 17<5a<31

よって、a=4,5,6・・・答

 

(4)

 \sqrt5<a<\sqrt{32}

 5<a^2<32

よって、a=3,4,5・・・答

 

(5)

 196<219<225

 14<\sqrt{219}<15

よって、a=14・・・答

 

(6)

 7≦\sqrt{7a}<8

 49≦7a<64

よって、a=7,8,9・・・答

 

演習問題02

(1)

 5≦\sqrt a<15

 25≦a<225

よって、整数aの個数は

 225-25=200個・・・答

 

(2)

 18<\sqrt a <21

 324<a<441

よって、整数aの個数は

 441-324-1=116個・・・答

 

(3)

 a≦\sqrt n≦a+1

 a^2≦n≦(a+1)^2

よって、整数nの個数は

 (a+1)^2-a^2+1

  =2a+2・・答

 

(4)

 a<\sqrt{n} <a+3

 a^2<n<(a+3)^2

これを満たす整数nが104個なので

 (a+3)^2-a^2-1=104

 6a+8=104

 a=16・・・答

 

演習問題03

(1) 

  16≦\sqrt{260}<17

よって、\{n\}=16

ゆえに、

 \{ \{n\} \}=\sqrt{ \{n\} }=\sqrt{16}=4・・・答

 

 

(2) 

  \{ \{n\} \} =3より

  3≦\sqrt{ \{n\} }<4

  9≦ \{n\}<16

※[tex:\{n\}は整数だから

  9≦ \{n\}≦15

よって、

  9≦\sqrt n<16

 2乗して

  81≦n<256

 よって、整数nの個数は

  256-81=175個・・・答

 

(3) 

 表をつくると

f:id:keimathchem:20180713230050p:plain

 よって、11個・・・答

 

 

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