ページ コンテンツ
MENU

式の計算の利用と練習問題(基)

今回は展開や因数分解を利用した基礎問題を見ていこう。

 

前回 因数分解の工夫と練習問題(3)(難)

次回 式の計算の利用と練習問題(標~難)

 

 

    1.3展開と因数分解の利用

  1.3.1 式の利用と練習問題(基)

  1.3.2 式の利用と練習問題(標~難)

  1.3.3 式の利用と練習問題(難)

 

 

1.計算への利用

例題01

(1) 49^2 
(2) 97×103
(3) 58×52.3+42×52.3
(4) 34^2-66^2
(5) 11^2+2×11×19+19^2

 

解説

そのまま計算すると時間がかかるので、

展開や因数分解を利用して計算していく。

 

主な手法は以下の通り

 ①計算しやすい数に合わせる 

 ②因数分解できないか考える。

 

(1) 49^2 

  49に近くて、計算しやすい50に合わせる。

 つまり49=50-1と考えて計算する。

  49^2 

   =(50-1)^2

 あとは、展開公式の通りに計算する。

   =50^2-2×50×1+1

   =2500-100+1

   =2401 ・・・答

 

(2) 97×103

 100を基準にすると

  97=100-3

  103=100+3

 こうすると二乗-二乗の公式で計算できる。

   97×103

   =(100-3)(100+3)

   =100^2-3^2

   =10000-9

   =9991 ・・・答

 

(3) 58×52.3+42×52.3

 因数分解ができるか考えるのも重要。

 今回は共通因数52.3をくくる

  58×52.3+42×52.3

   =52.3×(58+42)

   =52.3×100

   =5230 ・・・答

 

(4) 34^2-66^2

 x=34y=66と考えれば、

 二乗-二乗の公式で因数分解ができる。

   34^2-66^2

   =(34+66)(34-66)

   =100×(-32)

   =-3200 ・・・答

 

(5) 11^2+2×11×19+19^2

 (4)と同じ様な発想。

 x=11, y=19とすると

  11^2+2×11×19^+19^2=x^2+2xy+y^2

 となり因数分解できると考える。

  11^2+2×11×19+19^2

   =(11+19)^2

   =30^2

   =900 ・・・答

 

解答

(1) 49^2 

   =(50-1)^2

   =50^2-2×50×1+1

   =2401 ・・・答

(2) 97×103

   =(100-3)(100+3)

   =100^2-3^2

   =9991 ・・・答

(3) 58×52.3+42×52.3

   =52.3×(58+42)

   =5230 ・・・答

(4) 34^2-66^2

   =(34+66)(34-66)

   =100×(-32)

   =-3200 ・・・答

(5) 11^2+2×11×19+19^2

   =(11+19)^2

   =30^2

   =900 ・・・答

 


練習問題01

(1) 51^2
(2) 51×49
(3) 2018^2-18×2018
(4) 4.2×7+4.2×3
(5) 2019^2-2018^2
(6) 7^2-2×7×3+9


 

2.式の値への利用

例題02
(1) x=5.6 のとき, (x-3)^2-(x+1)(x+3)の値を求めよ
(2) x=48,y=101のとき,  xy-xの値を求めよ
(3) a=-21のとき, a^2+2a+1の値を求めよ

 

解説

 中学2年でも学んだ内容だが、そのまますぐに代入せずに、

 与えられた式を変形したほうが計算が楽になる。

 

(1)

 代入する前に(x-3)^2-(x+1)(x+3)を簡単にする。

 とりあえず展開して簡単にできそう

  (x-3)^2-(x+1)(x+3)

   =x^2-6x+9-x^2-4x-3

   =-10x+6

 ここにx=5.6 を代入した方が楽になる

   =-10×5.6+6

   =-50・・・答

 

(2)

 xy-x因数分解してから代入

  xy-x

   =x(y-1)

   =48×(101-1)

   =4800 ・・・答

 

(3)a=-21のとき, a^2+2a+1の値を求めよ

 同様にa^2+2a+1因数分解する

  a^2+2a+1

   =(a+1)^2

   =(-21+1)^2

   =400 ・・・答

 

以上のように、代入する前に展開や因数分解ができるか考えてから代入しよう。

 

解答

(1)(x-3)^2-(x+1)(x+3)

   =x^2-6x+9-x^2-4x-3

   =-10x+6

 x=5.6 を代入し

   =-10×5.6+6

   =-50・・・答

(2) xy-x

   =x(y-1)

 x=48,y=101を代入し

   =48×(101-1)

   =4800 ・・・答

(3)a^2+2a+1

   =(a+1)^2

 a=-21を代入して

   =(-21+1)^2

   =400 ・・・答

 


練習問題02
(1) x= \frac{2017}{4} のとき, (x-2)^2-(x+2)^2の値を求めよ
(2) x= \frac52, y= \frac23のとき, 4x^2+6xyの値を求めよ
(3) x=32,y=68のとき, x^2-y^2の値を求めよ。


 

3.証明への利用

例題03

(1)奇数の平方から1を引くと、4の倍数となることを証明せよ。

(2)連続する3つの整数について、真ん中の数の平方は、残りの2数の積より1大きいことを証明せよ。

 

解説

 証明の書き方と、奇数や連続する整数の表しかたは中2の内容なので詳しくは触れない。単に計算するときに展開や因数分解を使っているだけで、基本的な考え方は中2の時に学んだ書き方をそのままつかう。

 

一応少し復習しておく

 1.文字での表し方(以下。nは整数とする)

  3の倍数 3n

  3で割って2余る数 3n+2

  奇数 2n+1 

  偶数 2n 

  連続する奇数  2n+1, 2n+3, 2n+5・・・

  連続する偶数  2n, 2n+2, 2n+4・・・

  連続する整数  n , n+1 , n+2・・・

    (この表し方をとりあえず思い出そう。)

 2.証明の流れ

  ①問題の数を文字で表す

  ②問題文の通りの計算をする

  ③結論を言う。

 式の証明は大体この流れで証明できる。

 

(1)

 ①問題の数を文字で表す

  奇数は先ほど思い出してもらったように2n+1と置けば良い

  「  」内を答案に書いていこう。赤字の部分を忘れないように。

 

   nを整数とすると、奇数は2n+1と表される。」

 

  ②問題文の通り計算する

   『奇数の平方から1を引く』と問題文に書いてある

   このとおりに計算する。

   なお、平方は二乗のことである。

 

   「よって、奇数の平方から1を引くと

     (2n+1)^2-1

      =4n^2+4n+1-1

      =4n^2+4n

      =4(n^2+n)       」

   最後の行のように、4の倍数の証明なら、4でくくる。

 

  ③結論を言う

    最後に、問題文をコピペする。

   ただし、倍数の証明の場合「(   )の中身が整数だから~」という文言が必要

 

    n^2+nは整数だから4(n^2+n)は4の倍数」

      よって、奇数の平方から1を引くと、4の倍数となる (証明終)」

 

 

(2)

 ①問題の数を文字で表す

  「nを整数とすると、連続する3つの整数はn, n+1, n+2と表される。」

 

 ②問題文の通り計算する

 『真ん中の数の平方は、残りの2数の積より1大きい』とある、

  つまり、(真ん中の平方)-1を計算すると、(残り2数の積)になる。

 

  「よって、真ん中の数の平方から1を引いた数は

    (n+1)^2-1

     =n^2+2n

     =n(n+2) 」

  残りの2数である、n, n+2 が出るように、因数分解する。

 

 ③結論を述べる

  「よって、真ん中の数の平方は、残りの2数の積より1大きい (証明終)」

 

解答

(1)

  nを整数とすると、奇数は2n+1と表される。

 よって、奇数の平方から1を引くと

   (2n+1)^2-1

    =4n^2+4n+1-1

    =4n^2+4n

    =4(n^2+n)

 n^2+nは整数だから、4(n^2+n)は4の倍数」

 よって、奇数の平方から1を引くと、4の倍数となる。 (証明終)

 

(2)

 nを整数とすると、連続する3つの整数は

 n, n+1, n+2と表される。

 よって、真ん中の数の平方から1を引いた数は

  (n+1)^2-1

   =n^2+2n

   =n(n+2) 

 よって、真ん中の数の平方は、残りの2数の積より1大きい (証明終)

 


練習問題03

 連続する2つの偶数の積に4を加えると4の倍数となることを証明せよ


 

4.図形への利用

例題

  横の長さx, 縦の長さyの長方形の花壇の周りに幅aの道がある。この道の真ん中を通る線の長さをLとする。道の面積をSとするとき、S=aLを証明せよ。

f:id:keimathchem:20180523152036p:plain
解説
 S と aL を実際に求めてみる。
 
①aLについて

 まず、Lを出してみよう。 

Lの 横の長さは, x道の幅aの半分を2回足せばよい

 横の長さはx+aとなる。

 縦の長さはy+aである。

f:id:keimathchem:20180523151744j:plain

 ゆえに、真ん中の線の長さLは

  L=2(x+a)+2(y+a)

   =2x+2y+4a 

ということは、aLは

  aL=a(2x+2y+4a)

   =2ax+2ay+4a^2 

 

②面積Sについて

 道の面積は、全体の面積から、花壇の面積を引けばよい。

 f:id:keimathchem:20180523154236j:plain

 全体の面積は(x+2a)(y+2a)

 花壇の面積はxy

ゆえに、道の面積Sは

 S=(x+2a)(y+2a)-xy

  =2ax+2ay+4a^2 

 

このようにaLとSを求めると、両方同じ結果になった。

だから、S=aLが成り立つ。という流れで証明していく。 

 

解答

Lについて

 L=2(x+a)+2(y+a)

  =2x+2y+4a

 両辺にaをかけて

 aL=a(2x+2y+4a)

   =2ax+2ay+4a^2 ・・・①

一方で、Sについて

 S=(x+2a)(y+2a)-xy

   S=2ax+2ay+4a^2 ・・・②

①と②より S=aL (証明終) 

 


練習問題4-1 

 図のように半径rの円形の土地の周りに幅aの道がある。この道の真ん中の線の長さをL, 道の面積をSとするとき、S=aLを証明せよ。

f:id:keimathchem:20180523160045p:plain
練習問題4-2
 底面の円の半径r, 高さhの円柱Aがある。この円柱の底面の円の半径を2倍、高さを半分にした円柱Bをつくる。円柱Bの体積は円柱Aの体積の何倍か。

5.演習


演習問題1 以下の計算をせよ
(1) 32^2
(2) 52×48
(3) 3.14×121-3.14×21
(4) 52^2-48^2
(5) 12^2-12×16+64
(6) 23×23×21-77×77×21

演習問題2 各問に答えよ
(1) x=10,y=3.4のとき, (x+y)^2+(x+y)(x-y)の値を求めよ。
(2) x=42のとき, x^2+10x-24の値を求めよ。
(3) a=64,b=36 のとき, \frac{a^2+b^2}{2}+ab の値を求めよ。

演習問題3

 図のように。中心角x°で半径rのおうぎ形と半径r+aのおうぎ形が重なっている。半径rのおうぎ形の弧の長さをL, 半径r+aのおうぎ形の弧の長さをM、2つのおうぎ形に囲まれた部分の面積をSとする。このとき、S=\frac{1}{2}a(L+M)を証明せよ。

f:id:keimathchem:20180523164316j:plain

演習問題4

 底面の半径aで高さbの円柱の表面積は、底面の半径aで母線の長さbの円錐の表面積の何倍か


6.解答

 練習問題01

(1) 51^2

  =(50+1)^2

  =2500+100+1

  =2601 ・・・答

(2) 51×49

  =(50+1)(50-1)

  =2500-1

  =2499・・・答

(3) 2018^2-18×2018

  =2018×(2018-18)

  =2018×2000

  =4036000・・・答

(4) 4.2×7+4.2×3

  =4.2×(7+3)

  =4.2×10

  =42・・・答

(5) 2019^2-2018^2

  =(2019-2018)(2019+2018)

  =4037・・・答

(6) 7^2-2×7×3+9

  =(7-3)^2

  =16 ・・・答

 

練習問題02

(1)(x-2)^2-(x+2)^2

  =x^2-4x+4-x^2-4x-4

  =-8x

  =-8×\frac{2017}{4}

  =-4034・・・答

(2) 4x^2+6xy

  =2x(2x+3y)

  =2×\frac52×(2×\frac52+3× \frac23)

  =5×(5+2)

  =35・・・答

(3) x^2-y^2

  =(x-y)(x+y)

  =(32-68)(32+68)

  =-3600 ・・・答

 

練習問題03

 nを整数とすると、2つの連続する偶数は2n, 2n+2とおける。

2つの偶数の積に4を加えると

 2n(2n+2)+4

  =4n^2+4n+4

  =4(n^2+n+1)

n^2+n+1は整数なので、4(n^2+n+1)は4の倍数。

よって、連続する2つの偶数の積に4を加えると4の倍数となる。(証明終)

 

練習問題4-1

Lについて

  L=2π(r+\frac{a}2)

   =2πr+πa

 よって、両辺にaをかけて

  aL=2πar+πa^2・・・①

Sについて

  S=π(r+a)^2-πr^2

   =2πar+πa^2・・・②

①, ②より

 S=aL (証明終) 

 

練習問題4-2
円柱Aの体積Vaは
 Va=πr^2×h
  =πhr^2
円柱Bの体積Vb
 Vb=π(2r)^2×\frac{h}{2}
  =2πhr^2
よって、2倍・・・答
 

演習問題1

(1) 32^2

 =(30+2)^2

 =900+120+4

 =1024・・・答

(2) 52×48

 =(50+2)(50-2)

 =2500-4

 =2496・・・答

(3) 3.14×121-3.14×21

 =3.14(121-21)

 =314・・・答

(4) 52^2-48^2

 =(52-48)(52+48)

 =400・・・答

(5) 12^2-12×16+64

 =12^2-2×12×8+64

 =(12-8)^2

 =16・・・答

(6) 23×23×21-77×77×21

 =21(23^2-77^2)

 =21(23-77)(23+77)

 =21×(-54)×100

 =-54(20+1)×100

 =-113400・・・答

 

演習問題2 

(1)(x+y)^2+(x+y)(x-y)

  =x^2+2xy+y^2+x^2-y^2

  =2x^2+2xy

  =200+68

  =268・・・答

(2)x^2+10x-24

  =(x-2)(x+12)

  =40×54

  =2160・・・答

(3)\frac{a^2+b^2}{2}+ab

  =\frac{a^2+2ab+b^2}{2}

  =\frac{(a+b)^2}{2}

  =\frac{100^2}{2}

  =5000・・・答

  

演習問題3

弧の長さL.Mは

 L=2πr×\frac{x}{360}

 M=2π(r+a)×\frac{x}{360}

よって、

 \frac{1}{2}a(L+M)

  =\frac{1}{2}a(2πr×\frac{x}{360}+2π(r+a)×\frac{x}{360})

  =\frac{πax}{360}(2r+a) ・・・①

一方面積Sは

 S=π(r+a)^2×\frac{x}{360}-πr^2×\frac{x}{360}

  =\frac{πax}{360}(2r+a) ・・・②

 ①, ②より

 S=\frac{1}{2}a(L+M) (証明終)

 

演習問題4
 底面の半径aで高さbの円柱の表面積Saは
  Sa=2πa^2+2πab
 底面の半径aで母線の長さbの円錐の表面積Sbは
  Sb=πa^2+πab
 よって2倍

 

関連記事

 1展開

  1.1.1展開公式と練習問題(基)

  1.1.2.少し複雑な展開と練習問題(標)

       1.1.3.展開の工夫と練習問題(1)(標)

       1.1.4.展開の工夫と練習問題(2)(難)

 1.2因数分解

       1.2.1.因数分解の基本と練習問題(基)

       1.2.2 因数分解の基本と練習問題(2)(標)

       1.2.3 因数分解の工夫と練習問題(1)(標~難)

       1.2.4 因数分解の工夫と練習問題(2)(標~難)

  1.2.5 因数分解の工夫と練習問題(3)(難)

    1.3展開と因数分解の利用

  1.3.1 式の利用と練習問題(基)

  1.3.2 式の利用と練習問題(標~難)

  1.3.3 式の利用と練習問題(難)